朝仕事に行きたくないときは休んでいい?欠勤・休職・退職を解説

仕事に行きたくない。朝泣く症状が出たときの明日すべきこと

朝になると仕事に行きたくなくなり、「今日はどうしても出勤できない」と感じることがあります。涙が出る、身体が動かない、吐き気や動悸がするといった症状まである場合は、無理に出勤することだけを考えるのではなく、まず仕事を休むことも検討してください。

一方で、「当日の朝に休んでも大丈夫?」「無断欠勤になる?」「もう仕事を辞めたい」と不安になることもあるでしょう。会社を休む場合には欠勤や年次有給休暇の扱いを確認する必要があり、そのまま退職を考える場合にも雇用契約に応じた法律上のルールがあります。

この記事では、朝仕事に行きたくないと感じたときの欠勤や有給休暇、無断欠勤の注意点に加えて、民法627条・628条に基づく退職のルール、休職や退職を検討する場合の対応について弁護士の視点から解説します。

朝仕事に行きたくないときは無理して出勤すべき?

朝仕事に行きたくないときは無理して出勤すべき?

朝起きたときに強い憂うつ感があり、仕事へ行く準備ができないこともあります。特に涙が出る、吐き気がする、身体が動かないなど心身に不調がある場合は、「仕事だから行かなければならない」と無理を重ねるのではなく、その日の体調を踏まえて休むことも検討しましょう。

体調が悪く出勤が難しい場合は会社へ連絡して休む

体調が悪く出勤できない場合は、会社へ連絡したうえで休むことが基本です。仕事に行きたくない理由や症状を細かく説明するのが難しければ、まずは体調不良で出勤できない旨を伝えます。

欠勤時の連絡先や連絡方法は会社によって異なるため、就業規則なども確認してください。仕事に行けない状態が何日も続く場合は、その日の欠勤だけで対応を続けるのではなく、医療機関への相談や休職、退職なども含めて今後の働き方を考える必要があります。

当日の朝でも年次有給休暇を申請できる?

年次有給休暇は、原則として労働者が取得する時季を指定して請求する制度です。ただし、当日の朝に申請した年次有給休暇が必ず認められるとは限りません。会社の就業規則や年休申請の手続き、これまでの運用などによって扱いが異なる場合があります。

そのため、「今日は仕事に行けない」と感じた場合は、無断で休むのではなく、まず会社へ連絡し、年次有給休暇として扱えるか確認しましょう。有給休暇として処理されない場合は、欠勤として扱われる可能性もあります。

連絡せず無断欠勤することは避ける

仕事に行くことがつらくても、会社へ何も伝えずに休むことは避けましょう。無断欠勤をしたからといって、それだけで当然に退職したことになるわけではありません。

また、無断欠勤を繰り返した場合には、就業規則に基づく懲戒処分などが問題になることもあります。出勤できない場合でも会社への連絡は行い、今後も勤務を続けることが難しいのであれば、欠勤を繰り返すのではなく休職や退職など別の方法を検討することが大切です。

朝仕事に行きたくないなら会社を辞めることもできる

朝仕事に行きたくないなら会社を辞めることもできる

朝になるたびに仕事へ行くことがつらく、今の会社で働き続けることが難しいのであれば、退職も選択肢になります。ただし、いつ退職できるかは雇用契約に期間の定めがあるかによって異なります。

無期雇用は民法627条により原則2週間で退職できる

正社員など期間の定めがない雇用契約では、民法627条1項により、労働者は会社に対して解約の申入れをすることができます。原則として、退職の意思表示が会社に到達してから2週間が経過すると雇用契約が終了します。

そのため、「仕事に行くのがつらい」という状態でも、退職するために会社が納得する特別な理由を用意する必要はありません。まずは退職する意思と退職日を会社へ明確に伝えることが重要です。

民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:e-gov

退職するために会社の承諾は必要ない

期間の定めがない雇用契約における退職の意思表示は、会社の承諾を得なければ効力が生じないものではありません。会社から「人手不足だから辞められない」「後任が決まるまで退職を認めない」と言われても、それだけで退職できなくなるわけではありません。

ただし、退職の意思を伝えたその日から出勤しなくてよいという意味ではありません。実際にいつまで勤務する必要があるのか、退職日まで出勤せずに済む方法があるのかについては、次のセクションで解説します。

有期雇用は民法628条の「やむを得ない事由」を確認する

契約社員など契約期間が定められている場合は、無期雇用と同じように民法627条の「原則2週間」で考えることはできません。民法628条では、契約期間の途中であっても「やむを得ない事由」がある場合には契約を解除できると定められています。

どのような事情が「やむを得ない事由」に該当するかは、個別の状況によって判断されます。仕事に行けないほど心身の不調が生じている場合でも、それだけで一律に該当すると決めつけず、契約内容や具体的な事情を確認する必要があります。

「明日から仕事に行きたくない」ときは出勤せず退職できる?

「明日から仕事に行きたくない」ときは出勤せず退職できる?

仕事に行くことが限界になり、「退職を伝えて明日から会社へ行かずに辞めたい」と考えることもあるでしょう。しかし、退職の意思を伝えれば、その日から当然に出勤する必要がなくなるわけではありません。退職日までの期間と、その間の勤務をどうするかは分けて考える必要があります。

退職を申し出た当日に雇用契約が終了するとは限らない

期間の定めがない雇用契約では、民法627条1項により、原則として退職の意思表示が会社に到達してから2週間が経過すると雇用契約が終了します。そのため、今日退職を申し出たからといって、当然に今日付けで退職できるわけではありません。

また、有期雇用の場合は民法628条など別のルールを確認する必要があります。「もう会社へ行きたくない」という気持ちと、法律上いつ雇用契約を終了できるかは分けて考えましょう。

有給休暇を取得して退職日まで出勤しない方法もある

退職日まで出勤することが難しく、年次有給休暇が残っている場合は、退職日までの期間に有給休暇を取得する方法があります。退職日が決まっており、その後に雇用関係が終了する場合は、会社が時季変更権を行使できる別の日がないことから、退職日を越えて年休の取得時季を変更することはできません。

ただし、入社して間もないなど、まだ年次有給休暇が付与されていない場合もあります。残日数も含めて確認したうえで、退職日までの勤務について会社と調整しましょう。

会社との合意により早期に退職できる場合もある

会社と労働者が退職日に合意すれば、民法627条による2週間の経過を待たずに雇用契約を終了することもできます。そのため、出勤を続けることが難しい場合は、早い退職日に合意できないか会社へ申し入れる方法もあります。

一方、会社が早期退職に応じないからといって、無断欠勤のまま会社へ行かなくなることは避けるべきです。自分で会社と退職日や退職までの勤務について話し合うことが難しい場合は、弁護士への相談も検討してください。

朝仕事に行きたくないまま欠勤すると会社から処分される?

朝仕事に行きたくないまま欠勤すると会社から処分される?

「今日はどうしても仕事に行けない」と会社を休んだ場合、すぐに解雇や懲戒処分を受けるのではないかと不安になることがあります。しかし、会社を1日欠勤したことだけで当然に解雇されるわけではありません。一方、会社へ連絡しない無断欠勤を繰り返した場合などは、就業規則に基づく懲戒処分が問題になることがあります。

1日の欠勤だけで当然に解雇されるわけではない

会社を欠勤したという事実だけで、当然に解雇が有効になるわけではありません。会社による解雇については、労働契約法16条により、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は権利濫用として無効になります。

体調不良などで出勤できない場合は、まず会社へ欠勤する旨を伝えましょう。有給休暇として処理されない欠勤については、その日の賃金が支払われない場合がありますが、欠勤と解雇は別の問題です。

無断欠勤を繰り返すと懲戒処分の問題になる場合がある

会社へ連絡せず無断欠勤を続けた場合は、就業規則に基づいて懲戒処分の対象となる可能性があります。ただし、無断欠勤をしたというだけで、どのような懲戒処分でも認められるわけではありません。

懲戒処分の有効性は、就業規則の定めだけでなく、欠勤の期間や回数、理由、会社からの連絡に応じていたかなど、具体的な事情を踏まえて判断されます。特に懲戒解雇のような重い処分については、処分の相当性も問題になります。

就業規則に定められた欠勤の連絡方法も確認する

欠勤する場合の連絡先や連絡期限、連絡方法について、会社が就業規則などで定めていることがあります。出勤が難しい場合でも、可能であれば会社のルールに沿って連絡しておくことがトラブル防止につながります。

朝になるたびに仕事へ行けず欠勤を繰り返しているのであれば、その日の欠勤だけで対応を続けるのではなく、休職や退職も含めて今後の働き方を検討する段階に来ている可能性があります。

朝になると仕事に行きたくない主な理由

朝になると仕事に行きたくない主な理由

朝仕事に行きたくないと感じる理由は人によって異なります。単に仕事への意欲が湧かない場合もあれば、人間関係や業務上のプレッシャーなど、職場に具体的な原因がある場合もあります。仕事へ行きたくない状態が続いているなら、何が負担になっているのかを一度整理してみましょう。

職場の人間関係やハラスメントがつらい

上司から厳しく叱責される、同僚との関係が悪い、職場で孤立しているなど、人間関係の問題から会社へ行くこと自体がつらくなることがあります。

また、暴言や嫌がらせなどが続いている場合は、単なる人間関係の悩みではなく、パワーハラスメントなどの問題が生じている可能性もあります。社内の相談窓口や労働局などへの相談を検討し、退職を考えている場合でもメールやメッセージなどの記録はできるだけ残しておきましょう。

仕事量や責任による負担が大きい

長時間労働が続いている、仕事量が多すぎる、達成の難しいノルマを課されているなど、業務上の負担が原因となっている場合もあります。責任の重い仕事を任され、「失敗できない」というプレッシャーから出勤することがつらくなるケースも考えられます。

残業や休日出勤が多い場合は、実際の労働時間も確認しておきましょう。未払い残業代などの問題がある場合は、タイムカードや勤怠記録、業務メールなどが後から重要な資料になることがあります。

仕事内容や職場環境が自分に合っていない

仕事内容が自分に合わない、希望していた業務と実際の仕事が違う、職場の雰囲気になじめないといったミスマッチから、仕事へ行くことが苦痛になる場合もあります。

一時的な悩みなのか、今の職場で働き続けること自体が難しいのかによって対応も変わります。配置転換などで解決できる可能性がある一方、状況が改善しないのであれば、休職や退職を検討することも選択肢になります。

朝泣く・起きられないなどの症状がある場合は専門家へ相談する

朝泣く・起きられないなどの症状がある場合は専門家へ相談する

仕事に行きたくないという気持ちだけでなく、朝になると涙が出る、起き上がれない、吐き気や動悸がするといった症状がある場合は、心身の状態にも注意が必要です。ただし、こうした症状だけから特定の病気であると判断することはできません。

仕事に行こうとすると涙や身体症状が出る場合がある

仕事や職場に強いストレスを感じていると、出勤前に気分が落ち込んだり、涙が出たり、身体の不調を感じたりすることがあります。症状の原因はさまざまであり、「気持ちの問題だから」と決めつけて無理に出勤を続ける必要はありません。

特に仕事へ行こうとするたびに症状が現れる場合は、いつから、どのような症状が出ているのかを記録しておくと、医療機関などへ相談するときにも状況を説明しやすくなります。

症状が続く場合は医療機関への相談を検討する

朝起きられない、涙が出るなどの状態が続いている場合や、仕事だけでなく日常生活にも支障が出ている場合は、医療機関への相談を検討してください。うつ病や適応障害などに該当するかどうかは、自己判断ではなく医師による診察が必要です。

また、診断や治療だけでなく、仕事を一定期間休む必要があるかについて医師の意見を確認することもできます。会社に休職制度がある場合は、診断書の提出を求められることもあるため、就業規則と併せて確認しましょう。

仕事に行きたくない状態が続く場合は休職も選択肢になる

仕事に行きたくない状態が続く場合は休職も選択肢になる

仕事を辞めるか迷っているものの、朝になると出勤できない状態が続いている場合は、一定期間仕事から離れて休むことも選択肢になります。ただし、休職は年次有給休暇のように法律で一律に定められた制度ではありません。利用できる条件や期間などは会社によって異なります。

会社に休職制度があるか就業規則を確認する

休職制度を利用できるかどうかは、まず会社の就業規則や雇用契約などを確認します。傷病休職を設けている会社では、一定期間勤務できない場合に休職を命じたり、労働者からの申請によって休職を認めたりする制度が定められていることがあります。

休職できる期間や申請方法、診断書が必要となる条件なども会社によって異なります。「仕事に行けないから休職できる」と一律に考えるのではなく、自分の会社でどのような制度が設けられているかを確認することが重要です。

休職中の給与や社会保険なども確認する

休職制度を利用する場合は、休職中の給与についても確認しておきましょう。休職中に会社から給与が支払われるかどうかは、就業規則などの定めによって異なります。

また、健康保険の被保険者が病気やけがのため仕事に就くことができず、給与の支払いを受けられないなどの要件を満たした場合には、傷病手当金を受給できることがあります。休職すれば必ず受給できる制度ではないため、自分が支給要件を満たしているか確認が必要です。

休職しても復職が難しい場合は退職を検討する

休職によって仕事から離れることで、すぐに退職するかどうかを決めずに今後の働き方を考える時間を確保できます。一方、休職しても職場へ戻ることが難しい場合や、職場環境そのものに問題がある場合には、退職を検討することもあります。

退職する場合は、前述したとおり無期雇用と有期雇用で適用されるルールが異なります。また、会社から退職を拒否されたり、自分で会社とやり取りすることが難しかったりする場合は、弁護士に対応を相談する方法もあります。

仕事に行きたくないのに退職できない場合は弁護士へ相談する

仕事に行きたくないのに退職できない場合は弁護士へ相談する

仕事に行くことがつらく退職を決めても、会社から引き止められたり、退職の申し出を受け付けてもらえなかったりすることがあります。自分で会社とやり取りすることが負担になっている場合は、弁護士に退職手続きを依頼する方法があります。

会社から退職を拒否されても退職できなくなるとは限らない

会社から「退職は認めない」「後任が見つかるまで辞められない」と言われても、それだけで退職できなくなるわけではありません。期間の定めがない雇用契約では、民法627条に基づいて退職の意思表示をすることができます。

重要なのは、退職する意思を会社へ明確に伝えることです。会社が退職届を受け取らないなどの問題がある場合には、内容証明郵便に配達証明を付けるなど、通知内容と会社への到達を記録できる方法で退職の意思を伝えることも検討します。

弁護士が本人に代わって会社との退職交渉を行える

朝仕事に行けないほど会社とのやり取りが負担になっている場合、自分で上司と退職について話し合うことが難しいこともあります。弁護士に依頼すれば、本人の代理人として会社へ退職の意思を伝えるだけでなく、退職日や有給休暇などについて会社と交渉することができます。

特に「明日から出勤することが難しい」という場合は、退職日までの有給休暇の取得や欠勤の扱い、会社との早期退職の合意など、出勤せずに退職できる方法がないか個別に検討することになります。

ハラスメントや未払い賃金などの問題も相談できる

仕事に行きたくない原因が、上司からのハラスメントや長時間労働、未払い残業代などにある場合は、退職手続きだけでなく、それらの労働問題についても弁護士へ相談できます。

会社とのトラブルを抱えたまま退職する場合は、退職だけを先に進めるのではなく、メールやチャット、勤怠記録、給与明細などの資料をできるだけ保存しておくことも重要です。自分で会社と交渉することが難しい場合は、退職を含めて今後どのように対応すべきか弁護士に相談するとよいでしょう。

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佐藤 秀樹

弁護士

平成12年慶應義塾大学法学部法律学科卒。
平成15年に司法試験合格後、片岡法律事務所入所。債権回収、相続問題といった一般民事事件から、M&A、事業再生、企業間取引、労務管理、知的財産権などの企業法務まで、数多くの実務に従事する。
平成19年からは慶應義塾大学法科大学院講師(実務家ゼミ担当)及び慶應義塾大学法学研究所講師を務める。
平成21年に弁護士法人みやびを開設し、現在に至る。

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