個人事業主の退職代行|契約解除の手順を弁護士が解説

個人事業主の退職代行|契約解除の手順を弁護士が解説

個人事業主やフリーランスとして働いている方でも、業務委託先との関係が悪化したり、突然契約を終了したくなったりする場面は少なくありません。直接連絡を取りたくない、トラブルが怖い、損害賠償を請求されないか不安、と感じている人は多く、そのような場合に「退職代行の利用」は有効な選択肢となります。

ただし、個人事業主は従業員とは法的な立場が異なるため、雇用契約と同じ考え方を適用できる部分とできない部分があります。本記事では、個人事業主が退職代行を利用して業務委託契約を解除する際の手順や注意点、偽装請負に該当するケースなどを、弁護士がわかりやすく解説します。

個人事業主でも退職代行は利用できる?業務委託契約と解除の基本知識

個人事業主でも退職代行は利用できる?業務委託契約と解除の基本知識

個人事業主でも退職代行サービスを利用することは可能です。ただし、雇用契約とは異なり、業務委託契約には独自の解除ルールが存在し、誤った進め方をすると損害賠償リスクが生じる可能性もあります。このセクションでは、まず個人事業主が置かれている法的立場と、退職代行を利用するケースについて整理します。

業務委託契約と雇用契約の違い

業務委託契約は、企業が個人事業主に業務を「依頼」して報酬を支払う契約であり、雇用契約とは異なり、指揮命令関係や勤務時間の拘束が基本的に存在しません。個人事業主は労働基準法の保護対象ではなく、残業代や有給休暇の概念も適用外となります。したがって、退職代行を使って契約を終了する際も「労働者として退職する」のではなく、「業務委託契約を解除する」という手続きを踏む必要があります。

個人事業主が退職代行を使う典型ケースとは

個人事業主が退職代行の利用を検討する典型ケースには、依頼主との関係悪化、過度の拘束、実質的な雇用関係が疑われる状況、連絡を取りたくないほどの精神的ストレスなどがあります。また、偽装請負に該当する可能性がある場合は、個人事業主であっても従業員性が認められる余地があり、退職代行を通じて適切な手続きを進めることが重要となります。退職代行サービスを使うことで、依頼主との直接のやり取りを避けつつ、契約解除を安全に進めることができます。

個人事業主が退職代行サービスを使うメリット

個人事業主が退職代行サービスを使うメリット

個人事業主は企業の従業員とは異なり、契約解除の連絡や交渉をすべて自分で行う必要があります。しかし、相手企業との関係性や精神的な負担から、直接のやり取りが難しいケースも少なくありません。

退職代行を利用すれば、連絡窓口をすべて代行してもらえるため、余計なストレスを抱えることなく業務委託契約の解除を進められます。このセクションでは、個人事業主が退職代行サービスを使う具体的なメリットを解説します。

直接連絡のストレスから解放される

依頼主との関係が悪化していたり、連絡を取るのが精神的に負担となっている場合、退職代行によって連絡窓口をすべて代行してもらえるのは大きなメリットです。契約解除の意思表示、日程調整、貸与物の返却方法など、煩雑な連絡業務を全て任せることで、個人事業主は作業負担だけでなく心理的負担からも解放されます。

法的トラブルのリスク回避

業務委託契約の終了には、契約内容、解除事由、通知方法など複数の法的ポイントがあります。退職代行を利用することで、契約解除に必要な通知手続きや書面作成が適切に行われ、不要なトラブルや誤解を避けることができます。また、弁護士対応の退職代行であれば、万一相手方から損害賠償を示唆された場合でも、法的に正しい反論が可能です。

即日対応で迅速に契約解除を進められるケースもある

個人事業主の業務委託契約は契約内容によって解除の可否や通知期間が異なるものの、合理的な理由や契約条件に基づけば即日対応できるケースもあります。退職代行に依頼することで、必要な通知を迅速に行うことができ、個人事業主側の負担を最小限に抑えながら契約解除を進めることができます。

個人事業主が退職代行を使う際の注意点

個人事業主が退職代行を使う際の注意点

個人事業主が退職代行サービスを利用する場合、契約解除の手続きは業務委託契約の内容によって大きく左右されます。契約書に解約条項があるか、通知期間が定められているかなど、事前に確認すべきポイントが多くあります。ここでは、退職代行を使う前に個人事業主が必ず把握しておきたい注意点を解説します。

業務委託契約の契約書の解約条項を必ず確認する

業務委託契約には「解除に関する条項」が設けられていることが多く、解除理由や通知期間が明記されているケースがあります。特に通知期間が30日や60日とされている場合は、それに従う必要が出てきます。退職代行に依頼する前に契約書の内容を確認し、契約に沿った方法で解除できるかどうかを整理することが重要です。

即日解除が難しいケースもある

雇用契約とは異なり、業務委託契約は原則として契約自由の原則が適用されるため、即日での解除が難しい場合もあります。特にプロジェクト契約や期間・成果物に基づく契約の場合は、合理的な理由がなければ即日対応は困難です。退職代行の弁護士が解決策を提案することで、トラブルを避けながら解除手続きを進められます。

偽装請負のケースでは個人事業主でも従業員として退職が可能

偽装請負のケースでは個人事業主でも従業員として退職が可能

実際には個人事業主として業務委託契約を結んでいても、働き方の実態によっては「偽装請負」と判断され、従業員として扱われるケースがあります。このような場合は業務委託契約ではなく労働契約に該当する可能性があり、退職代行を利用して一般的な従業員の退職と同様の手続きで契約を終了させることができます。

偽装請負とは?判断基準を解説

偽装請負とは、業務委託契約の形式を取りながらも、実態として会社の指揮命令下で働いている状態を指します。勤務時間の指定、業務手順の細かい指示、会社の備品を使用した業務などが認められる場合は、雇用関係と判断される可能性があります。労働者として扱われるかどうかは、契約書よりも実際の働き方が重視されます。

実質的な雇用関係が認められた場合の対応

偽装請負と判断された場合、個人事業主ではなく従業員として退職手続きを進めることができます。従業員と同様に、民法627条の「2週間ルール」が適用されるため、退職代行を使って退職日を確定することも可能です。また、未払い残業代や労働保険の適用漏れなどがある場合は追加の請求も検討できます。弁護士対応の退職代行であれば、雇用関係の立証から退職手続きまで一括して支援が可能です。

個人事業主が業務委託契約解除で損害賠償請求されるリスクと対処法

個人事業主が業務委託契約解除で損害賠償請求されるリスクと対処法

個人事業主が業務委託契約を解除する際、相手先から損害賠償を示唆されるケースがあります。ただし、業務委託契約で損害賠償が認められるためには、具体的な損害が発生していることや、個人事業主に重大な過失があることなど厳格な要件が必要です。このセクションでは、個人事業主が退職代行を利用して契約解除を行う際に注意すべきポイントと、損害賠償を避けるための対処法を解説します。

どんな場合に損害賠償リスクが発生するのか

損害賠償が問題となるのは、契約上の義務違反によって明確な損害が相手先に発生した場合に限定されます。例えばプロジェクト契約で成果物の未納や、取引先への重大な迷惑行為があった場合などです。単に契約を解除しただけでは損害賠償は成立しにくく、企業側にも立証責任があります。

弁護士対応でリスクを最小化する方法

損害賠償を示唆された場合でも、弁護士が契約書や業務実態を分析することで、法的に根拠があるかどうかを判断できます。退職代行を弁護士に依頼すれば、相手先とのやり取りもすべて法的に適切な形で進められ、過度な請求や不当な圧力を受けずに契約解除ができます。万が一紛争に発展する場合でも、弁護士が代理人として対応するため安心です。

個人事業主の退職代行費用相場|業務委託契約解除で弁護士依頼するメリット

個人事業主の退職代行費用相場|業務委託契約解除で弁護士依頼するメリット

個人事業主が退職代行を利用する場合、費用は一般業者と弁護士で大きく異なります。業務委託契約の解除には法的判断が必要になることが多く、特に損害賠償リスクや偽装請負の可能性がある場合は、弁護士へ依頼する価値が高まります。

一般業者と弁護士の費用比較

一般の退職代行業者は費用が安い一方、業務委託契約の「交渉」や「法的判断」ができません。そのため、多くの民間業者は個人事業主の退職代行の案件を引き受けません。

一方で弁護士の退職代行費用は5万~8万円となりますが、契約書の解約条項の確認、相手企業への通知、損害賠償回避の退職交渉など、幅広くサポートできます。トラブルリスクがある場合は弁護士依頼が適切です。

個人事業主の退職代行なら弁護士法人みやびへ|業務委託契約の解除を安全にサポート

個人事業主の退職代行なら弁護士法人みやびへ|業務委託契約の解除を安全にサポート

業務委託契約の解除は、雇用契約とは異なるルールが適用されるため、個人事業主にとって判断が難しい場面が多くあります。解約条項の読み取り、損害賠償リスクの有無、偽装請負の可能性など、専門的な法律判断が必要になるケースも珍しくありません。弁護士法人みやびでは、個人事業主が退職代行を利用して安全に契約解除できるよう、法的根拠に基づく総合サポートを提供しています。

弁護士法人みやびが選ばれる理由

弁護士法人みやびは、退職代行サービスを多数取り扱っており、業務委託契約に関するトラブルにも精通しています。弁護士が直接対応するため、契約解除通知、損害賠償リスクの診断、相手先との交渉、有給類似制度の消化調整などを一括して処理できます。一般業者では対応できない法的交渉が可能であり、トラブルを避けたいフリーランス・個人事業主に最適な選択肢です。

ご依頼から契約解除までの流れ

弁護士法人みやびでは、LINE、メール、電話で問い合わせから契約、退職完了まで一貫して請け負うことができます。契約前にご相談いただくことで、費用やリスクを事前に明確に案内しています。正式な依頼後は、弁護士が契約解除の通知を作成し、相手企業への連絡を代行します。まずはお気軽にお問い合わせください。

弁護士法人「みやび」にご相談を

弁護士法人「みやび」は全国の「会社を辞めたいけど辞められない」人に退職代行サービスを提供しています。LINE無料相談・転職サポート・残業代等各種請求にも対応しており、2万7500円(税込)から承っています。まずはお気軽にご相談ください。
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佐藤 秀樹

弁護士

平成12年慶應義塾大学法学部法律学科卒。
平成15年に司法試験合格後、片岡法律事務所入所。債権回収、相続問題といった一般民事事件から、M&A、事業再生、企業間取引、労務管理、知的財産権などの企業法務まで、数多くの実務に従事する。
平成19年からは慶應義塾大学法科大学院講師(実務家ゼミ担当)及び慶應義塾大学法学研究所講師を務める。
平成21年に弁護士法人みやびを開設し、現在に至る。

個人事業主の退職代行に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、個人事業主が退職代行サービスを利用して業務委託契約を解除する際によく寄せられる疑問を、弁護士視点でわかりやすくまとめています。

Q1. 個人事業主でも退職代行サービスを利用できますか?

はい、個人事業主でも退職代行を利用できます。従業員とは異なり「業務委託契約の解除」という手続きになりますが、退職代行が契約解除の通知や連絡窓口を代行できます。

Q2. 個人事業主が業務委託契約を解除する際、退職代行で即日対応は可能ですか?

契約書に定められた通知期間や解約条項によりますが、個人事業主でも条件を満たせば即日対応できるケースがあります。内容次第では弁護士による法的な即日対応が可能です。

Q3. 個人事業主が退職代行を使って契約を解除すると損害賠償される可能性はありますか?

個人事業主に損害賠償が認められるのは、重大な過失や契約違反によって明確な損害が発生した場合に限られます。単に契約を解除しただけでは成立せず、不当な請求は弁護士が反論できます。

Q4. 個人事業主は契約書に解約条項がある場合でも退職代行を利用できますか?

利用できます。ただし、個人事業主は業務委託契約の内容に従う必要があるため、通知期限や解除条件に沿った形で退職代行が手続きを進めます。契約書の確認は必須です。

Q5. 個人事業主でも偽装請負の疑いがある場合、従業員として退職できますか?

はい。働き方の実態によっては、個人事業主ではなく従業員として扱われる可能性があります。偽装請負と判断されれば、民法627条の2週間ルールが適用され、従業員と同様に退職代行で退職が可能です。

Q6. 個人事業主が退職代行に依頼した場合、依頼主(企業)から本人へ連絡が来ることはありますか?

弁護士対応の退職代行であれば、個人事業主本人に直接連絡が来ないよう窓口を全て弁護士側に切り替えます。連絡ストレスを避けたい個人事業主に最適です。

Q7. 個人事業主の退職代行について、弁護士法人みやびは対応していますか?

はい。弁護士法人みやびは個人事業主の業務委託契約解除も多数扱っており、契約解除通知、損害賠償リスクの診断、偽装請負の判断などを含め、法的に安全に退職できるよう総合的にサポートしています。

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