保育士という仕事は、子どもと関わるやりがいがある一方で、ブラック保育園や違法残業が横行する現場も多く存在します。慢性的な人手不足、過重労働、低賃金といった問題から心身に不調をきたし「辞めたい」と思う保育士は少なくありません。
しかし、園の慣習や法的知識の浅い園長の強い引き留めによって退職が難航するケースが目立ちます。そこで注目されているのが退職代行です。本記事では、保育士が退職代行を使う背景、自力退職で直面するトラブル、成功・失敗事例、そして弁護士依頼の重要性を解説します。
退職代行を使わないと辞められない保育士が多い背景

保育士は強い責任感と子どもへの思いから、自分の意思だけで退職を進めるのが難しい職種です。さらに保育業界特有の慣習や人手不足の問題が重なり、園側による強い引き留めや圧力に直面するケースが後を絶ちません。
本来は労働者の権利として認められている退職の自由が十分に機能せず、自力で辞めることが困難な状況に追い込まれてしまいます。
保育園業界の人手不足と退職阻止の実態
保育士不足は全国的な社会問題であり、一人が抜けるだけで園全体の運営に支障が出るほど深刻です。そのため園長や経営者は、辞めたいと申し出る職員を必死に引き止めようとします。特に正社員の担任保育士は配置基準に直結するため「辞められたら保育士配置基準を満たせなくなる」という園の都合を理由に強く圧力をかけられることがあります。
結果として、保育士は「自分がいなくなったら子どもたちや同僚が困る」と心理的に追い詰められ、退職の自由を奪われがちです。このような背景から、自力での退職が難しい場合に退職代行が利用されるようになっています。園長など経営管理者たちの法知識の低さや、労働法軽視も問題です。
年度途中の退職が困難とされる保育業界の慣習
保育園では新年度にクラス担任が決まるため、年度途中で辞めることは「子どもや保護者に迷惑をかける」として否定的に扱われます。園側は「年度末まで責任を果たすのが常識だ」と主張し、退職の意思を無視して勤務継続を強制することも珍しくありません。
しかし、労働基準法では労働者に退職の自由が認められており、法律上は2週間前に通知すれば退職は可能です。それでも現場では「慣習」が優先され、辞めたい気持ちを封じ込められることが多いため、弁護士が関与する退職代行の必要性が高まっています。
保育士が自力で辞めようとすると発生する重大なトラブル事例

保育士が園に直接退職を伝えると、業界特有の慣習や人手不足を背景にさまざまなトラブルへ発展するリスクがあります。法律上は労働者の退職の自由が保障されているにもかかわらず、園側は慣例や感情を理由に強く引き留めることが少なくありません。
その結果、退職をめぐるやり取りが長期化し、精神的にも肉体的にも大きな負担となるのです。ここでは、自力退職でどのような問題が起きやすいのかを具体的に見ていきます。
年度途中の退職で「子どもたちがかわいそう」と罪悪感を植え付けられるケース
園長や同僚が「子どもたちを途中で見捨てるのか」と感情に訴えて退職を阻止する手法は非常に多いです。保育士は子どもへの思い入れが強いため、この言葉に罪悪感を抱きやすく、結果として退職を諦めてしまうケースもあります。これは心理的な圧迫であり、労働者の権利を侵害する行為です。
「担任を投げ出すのは無責任」と退職を拒否されるケース
担任制の責任を盾に「年度末まで続けるべきだ」と一方的に通告されることがあります。しかし法律上、雇用契約が無期(主に正社員)の場合は2週間前の申し出で退職でき、「園が回らない(多忙になる)」など保育園の都合によって退職を拒否することは認められません。現場の慣習と法的根拠のギャップが大きい点に注意が必要です。
保護者から直接引き留められ板挟みになるケース
園側が保護者に退職の事実を伝え、「この先生を辞めさせないで」と要請させるケースも見られます。保護者から直接「辞めないでほしい」と言われると保育士は精神的に強い負担を感じ、板挟み状態に追い込まれます。労働者個人の退職意思が園と保護者の都合に利用される典型例です。
「代替保育士が見つからない」を理由に退職日を延期されるケース
園長から「後任が見つかるまで続けてほしい」と言われ、結果的に数か月も辞められない事態に陥ることがあります。しかし人材確保は雇用者の責任であり、労働者が退職を先延ばしにする義務はありません。こうした場合も法的に正しく対応できる退職代行が役立ちます。
園の運営に支障が出ると損害賠償を脅されるケース
「あなたが辞めたら園に損害が出る」と脅され、損害賠償を請求される不安を抱かされるケースもあります。しかし実際に裁判で損害賠償が認められる可能性は極めて低く、多くは根拠のない脅しです。労働者個人で対応するのは難しいため、専門的な知識を持つ弁護士のサポートが不可欠です。
保育士が退職代行で成功した実体験3選

退職代行を活用した保育士の中には、弁護士によるサポートでスムーズに辞められた人が多くいます。以下では実際退職代行を成功した事例を紹介します。
【事例1】年度途中退職を成功させた都内保育士Aさん(26歳・女性)
Aさんは都内の認可保育園で2歳児クラスの担任を務めていましたが、心身の疲労が限界に達し年度途中で退職を希望しました。しかし園長からは「子どもたちが混乱するからダメだ」と強く引き止められ、自力での退職は困難でした。
そこで弁護士対応の退職代行に依頼したところ、法的根拠に基づき2週間後の退職が正式に成立しました。Aさんは「自分一人では押し切れなかったが、弁護士が代わりに交渉してくれたおかげで安心して新しい仕事に移れた」と語っています。
【事例2】パワハラ園長から逃れた埼玉県保育士Bさん(32歳・女性)
Bさんは園長から日常的に「仕事が遅い」「保護者に迷惑をかける」と叱責され、精神的に追い詰められていました。退職を申し出ても「無責任だ」と罵倒され受け入れられませんでした。
退職代行に相談した結果、弁護士が代理人として対応し、即日で退職が成立。Bさんは「園に連絡を入れる必要がなく、二度とパワハラを受けずに済んだ」と心身ともに解放されました。
【事例3】有給全消化で円満退職した大阪府保育士Cさん(28歳・男性)
Cさんは長時間労働で体調を崩し、転職を決意しました。しかし園は「有給は消化できない」と主張。弁護士対応の退職代行に依頼した結果、法律に基づいて有給消化が認められ、円満退職が実現しました。
Cさんは「有給をしっかり使えたことで休養期間を確保でき、新しい職場にスムーズに移れた」と満足しています。
保育士の退職代行でよくある失敗パターン3選

一方で、退職代行を利用しても準備不足や業者選びの誤りによって失敗する例もあります。特に昨今は全国的に退職代行が注目されるようになり、法知識のない民間業者が増加傾向にあります。
また、弁護士であっても、退職代行の交渉実績とスキルがない事務所に依頼してしまうと、同様に成功とは言えない結果が待ち受けていることもありますので、最初の業者選びは慎重になる必要があります。
【失敗例1】格安業者を選んだ神奈川県保育士Dさん(24歳・女性)
Dさんは料金が安いという理由だけで非弁の民間業者を選びました。当初は退職できると思っていましたが、園長から「損害賠償を請求する」と脅されると業者は対応できず、結果的に退職が長引きました。
最後は弁護士に再依頼し、二重に費用がかかってしまったという失敗例です。料金の安さだけで選ぶリスクが如実に表れています。
【失敗例2】準備不足で長期化した千葉県保育士Eさん(30歳・女性)
Eさんは退職代行を依頼する前に、雇用契約書や給与明細を手元に用意していませんでした。そのため弁護士が交渉を進める際に証拠が不十分で、未払い残業代の請求がスムーズに進みませんでした。
結果として退職まで時間がかかり、精神的な負担が大きくなってしまいました。退職前に最低限の書類を準備しておく重要性がわかる事例です。
【失敗例3】非弁業者で交渉決裂した愛知県保育士Fさん(27歳・男性)
Fさんはインターネット広告で見かけた非弁業者に依頼しましたが、園側との交渉で「法的権限がない」と突き返され、退職手続きが進みませんでした。結局、弁護士に依頼し直して解決したものの、時間も費用も無駄にかかってしまいました。このように非弁業者は法律上できることが限られており、交渉が必要な場面ではほぼ機能しないのが現実です。
保育士の退職代行の選び方:弁護士と民間業者の対応の違い

弁護士が対応する退職代行は、損害賠償請求や未払い残業代請求などの法的交渉が可能で、保育士を守る大きな力になります。民間業者は単なる連絡代行に過ぎず、違法残業や過重労働の問題に対応する権限がありません。特にブラック保育園でのトラブルを避けたい場合、弁護士による退職代行を選ぶことが最も安全です。
弁護士が対応できる法的交渉の範囲
弁護士は労働基準法や民法に基づき、退職に関するあらゆる法的交渉を代理で行うことができます。例えば、未払い残業代の請求、有給休暇の取得交渉、さらには園側から提示された損害賠償請求への反論まで対応可能です。
保育士が個人で主張しても聞き入れられなかった要求も、弁護士が介入することで法的根拠を持って通せるため、安心して退職手続きを進めることができます。
民間業者では解決できないトラブル事例
一方で、民間業者はあくまで退職の意思を伝える「連絡代行」にとどまります。そのため、園長から「損害賠償を請求する」と脅されても対抗できず、問題解決が進まないことがあります。
また、保護者や園側からの感情的な引き留めが続いた場合でも、法的権限を持たないため対応できず、依頼者が結局出勤を余儀なくされるケースも見られます。保育業界の複雑な事情を考えると、法的トラブルを含めて対応できる弁護士の退職代行が望ましいといえるでしょう。
保育士が弁護士に退職代行を依頼すべき3つの理由

保育士の退職は、他の業種と比べても感情的な引き留めや法的なトラブルが発生しやすいのが特徴です。園長や同僚からの強い圧力、違法残業の横行、さらには損害賠償をちらつかせる脅しなど、自力での対応が難しい場面も少なくありません。
こうした状況では、法的権限を持つ弁護士に依頼することで安心して退職を進められます。以下では、弁護士依頼が特に有効となる3つの理由を具体的に解説します。
理由1:「担任放棄の損害賠償」脅迫に法的根拠で対抗できる
園側が「担任を途中で放棄したから損害が出た」と主張することは珍しくありません。しかし実際に損害賠償が認められる可能性は極めて低く、ほとんどが法的根拠に乏しい脅しにすぎません。
弁護士であれば、法律に基づいた反論で園側を抑え込み、依頼者が不当な請求に怯える必要がなくなります。
理由2:保育業界特有の違法残業代を確実に請求できる
保育園では持ち帰り仕事やサービス残業が常態化しているケースが多く、未払い残業代が発生しやすいのが実情です。弁護士は雇用契約書や給与明細をもとに請求を代行し、正当な賃金を取り戻すことができます。民間業者では一切対応できないため、経済的な不利益を避けたいなら弁護士依頼が不可欠です。
理由3:どんなトラブルに発展しても出勤の必要なく、精神的負担を軽減
退職をめぐるトラブルが複雑化すると、自力では会社に出向いて説明を求められることがあります。しかし弁護士に依頼すれば、出勤せずにすべての交渉を任せられます。保育士にとって心身への負担を最小限にし、次のキャリアに向けて安心して準備できる点は大きなメリットです。
保育士が退職代行を成功させるための準備と注意点

退職代行を利用する際は、依頼すればすぐに解決すると思われがちですが、実際には事前の準備や基本的な知識が結果を大きく左右します。特に保育士の退職では、労働条件の確認や証拠の確保といった下準備が重要です。
適切な準備を整えておくことで、交渉がスムーズに進み、余計なトラブルを避けることができます。ここでは、退職を成功させるために押さえておきたい準備と注意点を紹介します。
退職前に準備すべき必要書類一覧
・退職届(署名捺印したもの)
・引き継ぎ資料(必要な場合)
・雇用契約書(入社時に交わした契約内容を確認するため)
・給与明細(未払い残業代や退職金計算の証拠となる)
・勤務シフト表や業務日誌(長時間労働や違法残業の証拠になる)
・有給休暇残日数の確認資料(人事からの通知や給与明細に記載されている場合あり)
これらの書類を事前に用意しておくことで、弁護士が交渉を進めやすくなり、退職代行の成功率が高まります。また、自宅に送られてきた給与明細や社会保険関係の通知なども保存しておくと安心です。準備を怠ると本来請求できる権利を見落としてしまう可能性があるため、早めの対応が重要です。
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弁護士法人みやびは、全国対応で退職代行を提供している老舗の弁護士事務所です。保育士特有のトラブルである違法残業や損害賠償の脅しにも法的に対応できるため、安心してお任せいただけます。
LINEや電話で無料相談が可能で、まずは気軽に状況を相談することから始められます。過重労働やメンタル不調で限界を感じている保育士こそ、専門家のサポートを受けてください。

弁護士法人「みやび」は全国の「会社を辞めたいけど辞められない」人に退職代行サービスを提供しています。LINE無料相談・転職サポート・残業代等各種請求にも対応しており、2万7500円(税込)から承っています。まずはお気軽にご相談ください。
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保育士の退職代行に関するよくある質問
保育士の仕事は責任が重く、退職を伝えるだけでも精神的な負担が大きいものです。ここでは、保育士が退職代行を利用するにあたってよくある疑問や不安に対して、具体的な回答をまとめました。
Q. 年度途中でも退職代行を使って辞められますか?
はい。労働基準法では2週間前に退職の意思を伝えれば辞めることができます。保育園側の「年度途中は無責任」という主張は法的効力がなく、退職代行を通じて退職手続きを進めれば、問題なく辞められます。
Q. 担任保育士だと退職できないと言われました。本当ですか?
いいえ、担任であるかどうかにかかわらず退職する自由は労働者にあります。担任業務の引き継ぎや代替人員の確保は園の責任であり、保育士個人が退職を我慢する理由にはなりません。
Q. 退職代行を使うと保護者から批判されませんか?
保護者との関係性は気になりますが、退職はあくまで労働者の権利です。直接やりとりする必要はなく、退職代行を通じて冷静に手続きを進めれば、個人的なトラブルを避けることができます。
Q. 損害賠償を請求すると脅されましたが大丈夫ですか?
保育園側から損害賠償をちらつかされるケースもありますが、実際に認められることはほとんどありません。法的根拠のない脅しに過ぎず、弁護士が対応すれば正当に反論可能です。
Q. 有給休暇は使えますか?
はい。有給休暇の取得は労働者の権利です。退職時にまとめて取得することも可能で、弁護士が退職代行を行えば、保育園側に法的根拠を示して交渉し、取得を実現できます。
Q. 民間の退職代行と弁護士の違いは何ですか?
民間業者は退職の意思を伝えるだけで、法的交渉は一切できません。弁護士であれば、未払い残業代請求や損害賠償への反論、有給消化の交渉など、保育士に必要な法的対応が可能です。
Q. 退職代行の利用は職歴に悪影響ですか?
退職代行を使ったからといって職歴に傷がつくわけではありません。次の転職先でも、正当な理由を説明できれば評価に悪影響を与えることはほとんどありません。